384 裏切られた

翌日、島田香織は目覚めると、いつものように窓際に歩み寄り、手を伸ばしてカーテンを開けた。

世界全体が静寂に包まれ、目に映るものすべてが白一色だった。

雪が降っていた。

島田香織は思わず口元が緩んだ。雪の日が大好きだった。

島田香織が身支度をしようとしたとき、傍らの携帯電話が鳴り出した。手に取ると、画面には「陣内美念」と表示されていた。

電話に出るなり、陣内美念の興奮した声が聞こえてきた。「香織、スキーに行きましょう!」

「スキー?」島田香織は一瞬躊躇した。随分とスキーから遠ざかっていた。

「そうよ、今日は雪も降ってるし、午前中はスキーして、午後は温泉に入りましょう。どう?」陣内美念は矢継ぎ早に言った。

島田香織は少し考えた。今日は特に仕事もないので、承諾することにした。

二人は朝食を済ませると、直接車でスキー場へ向かった。

スキー場に着くと、陣内美念は島田香織を引っ張って入口へ向かい、突然驚いたふりをして「あら、田村警部も来てたの。香織、ごめんね、私、彼氏と一緒にスキーするわ」と言った。

島田香織:……

陣内美念はその後、笑顔で島田香織の右側を見て言った。「藤原さん、お願いがあるんですが」

「どうぞ」藤原航は落ち着いた様子で答えたが、声には少し笑みが混じっていた。

「香織のことを見ていてもらえませんか」陣内美念は島田香織を藤原航の前に押しやりながら、真面目な表情で「お願いします」と言った。

そう言うと、陣内美念は荷物を持って躊躇なく田村警部の方へ走っていった。

島田香織は陣内美念のこの様子を見て、すぐに理解した。陣内美念は意図的に自分を藤原航と二人きりにしようとしていたのだ。

島田香織は顔を上げて藤原航を見つめ、眉をひそめながら言った。「藤原さん、私たち、プライベートではあまり接触すべきではないと思いますが、いかがでしょうか?」

藤原航は島田香織の言葉を聞いて、軽く頷きながら答えた。「島田お嬢様のおっしゃる通りです。ですが、今日は特別にしましょう。せっかく来たのですから、一緒にスキーを楽しみませんか?」

島田香織はスポーツバッグを握りしめながら、藤原航をじっと見つめた。

藤原航は自然な様子で島田香織からスポーツバッグを受け取り、優しく「行きましょう」と言った。