384 裏切られた

翌日、島田香織は目覚めると、いつものように窓際に歩み寄り、手を伸ばしてカーテンを開けた。

世界全体が静寂に包まれ、目に映るものすべてが白一色だった。

雪が降っていた。

島田香織は思わず口元が緩んだ。雪の日が大好きだった。

島田香織が身支度をしようとしたとき、傍らの携帯電話が鳴り出した。手に取ると、画面には「陣内美念」と表示されていた。

電話に出るなり、陣内美念の興奮した声が聞こえてきた。「香織、スキーに行きましょう!」

「スキー?」島田香織は一瞬躊躇した。随分とスキーから遠ざかっていた。

「そうよ、今日は雪も降ってるし、午前中はスキーして、午後は温泉に入りましょう。どう?」陣内美念は矢継ぎ早に言った。

島田香織は少し考えた。今日は特に仕事もないので、承諾することにした。