401 隠蔽

島田香織は藤原航を直接追い出した。

彼女は藤原航が変わったと感じた。

以前のクールで寡黙な藤原航は二度と戻らず、今の藤原航は特に話が上手くなっていた。

島田香織は藤原航が去った後、中島夏美の姿を思い浮かべた。特別美人というわけではないが、醜いわけでもない。藤原航がそこまで彼女を貶める必要はないだろう。

そう考えると、島田香織は軽く唇を噛み、下を向いて仕事を続けた。

島田香織は写真のことを思い出した。藤原航と一緒に食事に行った時、トイレに行く前は確か窓際の3番目のテーブルだったのに、戻ってきたら藤原航は窓際の2番目のテーブルに座っていた。

どうやら、藤原航はその時すでに中島夏美の件を片付けていたようだ。

島田香織は仕事を始めようと顔を上げた時、ふと鏡に映る自分の姿が目に入った。顔には明るい笑顔が浮かんでいた。

島田香織は必死に冷静さを保とうとした。もう昔のような、愛のためなら何でも捨てる馬鹿な女ではないのだから。

藤原航は島田香織のオフィスを出ると、無表情で自分の個室オフィスに向かった。その切れ長の目は細められ、顔には冷たさが漂っていた。

藤原航は携帯を取り出し、直接林楠見に電話をかけた。

「藤原社長」林楠見はすぐに電話に出た。彼は藤原航からの電話を受けるために24時間携帯の電源を入れていた。

しかも林楠見は藤原航に自分から電話をかける勇気がなかった。藤原航がそれを禁じていたからだ。

藤原航から電話がかかってくるということは、大事が起きたということだ。

「ある件について、早急に調べてほしい」

「どんなことでしょうか？」

藤原航は机の上の写真を見ながら続けた。「昨日ホテルで食事をしている時、ある女性が話しかけてきた。誰かが写真を撮って私に送ってきたようだ。誰が写真を撮ったのか、そして誰が島田香織に写真を送ったのか調べてくれ」

林楠見は藤原航の言葉を聞いて、躊躇いながら言った。「陸田健児さんではないでしょうか？」

「陸田健児はアンナに缶詰にされているはずだ。身動きが取れないだろう」藤原航は冷ややかに言った。今日のウェイボーのトップニュースは陸田健児とアンナがホテルに入る姿が目撃され、良い関係に進展しているという内容だった。

「では、藤原おじいさんかもしれません？」林楠見は慎重に尋ねた。