「陸田スター、今すぐメールボックスを開いて私からの贈り物を確認してください。きっと気に入ると思います。そんなに感謝する必要はありませんよ。敵の敵は味方ですから。私たちには共通の敵がいます。その敵を倒すために、今や私たちは同じ船に乗った仲間といえるでしょう」
「藤原航は今ホテルにいます。部屋番号もすでにメールでお送りしました」
「陸田スターはこの機会に島田お嬢様と復縁できるのではないでしょうか」
「明日には陸田スターと島田お嬢様が一緒にいる話題がSNSで盛り上がることを期待しています」
「もう遅い時間ですから、陸田スターは急いだほうがいいですよ。この機会を逃したら、島田お嬢様を取り戻すのは難しくなるでしょう」
田中安尾はそれらを矢継ぎ早に言い終えると、陸田健児の返事を待たずに電話を切った。
陸田健児が台本を読み続けようとした時、突然スマートフォンにメール通知が届いた。
陸田健児は少し躊躇した後、メールボックスを開いた。中には動画があり、藤原航と中島夏美が一緒に酒を飲んでいる様子が映っていた。
中島夏美は緩んだバスローブを着ており、胸元の美しさが垣間見えた。
藤原航は無表情で傍らに座り、中島夏美を一瞥もしなかった。
陸田健児は無表情で動画を見ていた。動画は短く、中島夏美が陸田健児に抱きつくシーンだけだった。
この動画は藤原航と中島夏美が一緒にいる場面を完璧に捉えていた。
中島夏美は中島家のお嬢様で、この二ヶ月前に安川市に戻ってきたばかりだった。聞くところによると、中島夏美は安川市で婚約者を探しているとのことだった。
そう考えると、中島夏美は藤原航に目をつけたということか?
それも当然のことだろう。藤原航は容姿も能力も優れており、同年代では二番目に位置している。もちろん一番は自分だが。
陸田健児は田中安尾の電話での言葉を思い出し、冷ややかな笑みを浮かべた。
まさか田中安尾のような役立たずが、自分を盾にしようとするとは思わなかった。
陸田健児は何気なくスマートフォンを脇に置いた。
田中安尾の罠には引っかからないつもりだった。
しかし、島田香織が藤原航と他の女性が同じベッドにいる場面を目撃したら、おそらく島田香織は二度と藤原航とは関わりを持とうとしないだろう。