410 聞こえが良い

中島夏美は地面に倒れ込み、彼女の角度から藤原航のハンサムな横顔が見えた。藤原航が彼女を見た時、その眼差しが軽蔑を表していることは分かっていたが、藤原航の表情があまりにもかっこよすぎて、彼女は一瞬で魅了されてしまった。

中島夏美はお腹を押さえながら向かい側のソファに座っていた。彼女は、男女二人きりの部屋で、女性が誘いをかければ、どんな男性もそんな良い話を断れないだろうと考えていた。

もし中島夏美が藤原航に心を奪われていなければ、とっくに帰っていただろう。どうして彼とこれ以上話し合う気になるだろうか。

中島夏美は藤原航から目を離さず、続けて言った。「藤原さん、私がこうしてあなたにまとわりついて、迷惑をかけているのは分かっています。でも、お話ししたいことがあって。先週、島田お嬢様に会って話をしたんです。私があなたに気があることを彼女は知っていますが、全く気にしていないようで、むしろ私を応援してくれました。」