417 美男計

しかし、がっかりしたことに、島田香織は彼女の言葉を全く信じず、それどころか、また冷水を浴びせられ、偽の鼻まで歪められてしまった！

冬で、外は雪が降っているのに、部屋の中は暖房が効いているとはいえ、彼女はベッドに縛られたまま長時間放置されていて、島田香織が来る前からすでに寒さを感じていたのだ！

中島夏美が最も納得できなかったのは、陸田健児という人物が追い打ちをかけ、助けに来るどころか、彼女のことを馬鹿だと言ったことだ！

部屋の他の人たちは皆帰ってしまい、中島夏美は部屋の扉に鍵をかけ、バスルームで熱いお風呂に浸かった。歪められた鼻は明日美容整形外科で直すしかないようだ。

中島夏美は熱いお風呂に浸かった後、やっと生き返った気がして、携帯を手に取り、父親の中島岩男の秘書である陣内浩に電話をかけた。

「中島さん？」

中島夏美の瞳は怒りに満ちていたが、陣内浩に対しては怒りを抑え、歯を食いしばって言った：「島田香織と藤原航の全ての情報が欲しいの！」

陣内浩は中島夏美の言葉を聞いて、目に困惑の色を浮かべ、躊躇いながら言った：「中島さん、この件については中島社長に確認を取る必要があります。社長の承諾があってからでないと…」

「何を確認する必要があるの？私が調べろと言ったら調べなさい。ぐずぐずしないで。何かあったら私が責任を取るわ！」

陣内浩は一従業員として、中島夏美がそう言うなら従うしかなく、「はい、お嬢様。できるだけ早く調べて、メールでお送りいたします！」

その後、中島夏美は怒りながら電話を切った。

中島夏美がきれいなソファーで居眠りをしかけていた時、突然携帯が鳴り出した。携帯を手に取り、着信表示を見て目を白黒させ、そのまま携帯を脇に投げ捨てた。

今は田中安尾からの電話に出る気が全くなかった。今夜は十分恥をかいたので、もう誰とも話したくなかった。

そのとき、ドアの方からノックの音が聞こえてきた。中島夏美はクッションを頭に被せ、来た人は二回ノックしたら諦めるだろうと思った。

しかし、ドアの外の人は特に粘り強く、ノックし続けた。

中島夏美はイライラしながら立ち上がり、暗い表情でドアの方を見つめ、怒りに任せてテーブルの上のコップをドアに向かって投げつけた。

ずっと続いていたノックの音が瞬時に止んだ。