435 両親に会う

島田香織は仕方なく言った。「お父さん、お母さん、この人は藤原航です！」

藤原航は島田香織がそう言うのを聞いて、思わず心臓の鼓動が速くなった。島田根治と江田景を見つめながら、かつての義理の両親であり、これからの義理の両親となる二人を前に、緊張で手に汗をかきながら、横に立ち上がって大きなスーツケースを引き寄せた。「おじさん、おばさん、こんにちは。私は藤原航です。これは初めてのご挨拶の品です。初めてこのような正式な挨拶をさせていただきますが、作法が至らないかもしれません。どうかご容赦ください！」

江田景は今や藤原航のことがとても気に入っていた。普段から贈り物が大好きな彼女は、喜色満面で言った。「藤原君、そんなに気を遣わなくていいのよ。初めての訪問なのに、こんなにたくさんの贈り物を持ってきてくださって！」

そう言いながら、江田景はスーツケースの側に歩み寄り、開けようとした。

島田根治はいつも江田景を一番可愛がっていたので、彼女がケースを開けられないのではと心配して、しゃがんで手伝った。

ケースが開けられると、島田根治と江田景の二人は呆然となった。

中には江田景の大好きなバッグや、島田根治が収集している釣り竿、そして高級酒など、市場では手に入らないような品々が入っていた。

島田香織はこれらの贈り物を見て、眉をひそめ、驚いた表情で藤原航を見つめた。

彼女は藤原航が多くの贈り物を用意したことは知っていたが、藤原航は一度も彼女に両親の好みを聞いたことがなかった。

しかも、両親に会いに行くことを伝えたのは昨夜のことだった。

藤原航はたった一晩でこれほど周到な準備をしていた。

明らかに、彼は前からこのことを計画していたのだ。

島田香織は自分の気持ちをどう表現すればいいのか分からなかった。もし天組が介入していなければ、きっと彼女と藤原航の結婚はとてもスムーズに進んでいただろう。

島田香織は江田景の嬉しそうな顔と、島田根治の笑みを抑えている表情を見つめながら、5年前に藤原航との結婚を申し出た時の両親の不満そうな表情を思い出した。

同じ人と結婚するにしても、状況は全く違っていた。

以前の彼女はあの夜の出来事があったから藤原航との結婚を承諾した。

しかし今の彼女は、藤原航が本当に彼女を愛しているから、彼と結婚したいと思っている。

この違いは大きい。