夜が更け、クラブは明るく輝く灯りに包まれ、杯が交わされ、香水の香りと美しい姿が行き交う中、丸山家の母娘の一件による影響は全く見られなかった。
服部深遠は社交の場が好きではなかったので、若い世代の彼らと庭園で過ごし、服部の若奥様は宴会場でお客様をもてなしに行っていた。
「藤崎奥様、あなたもあの荒木さんをご存知のようですね?」
服部の若奥様は、老人がその女の子と息子が一緒になることを望んでいるのを感じ取っていたが、今日の出来事は彼女の心を不快にさせていた。
「知人の子供です。親族が亡くなり、おばあさまが慈悲深く藤崎家で引き取ったのです。」
藤崎奥様は荒木雅をあまり好きではなかったが、彼女の悪口を言うことはなく、自分の品位を保っていた。
それに、荒木雅が本当に服部隼と結ばれれば、藤崎雪哉に近づくこともなくなり、藤崎家の厄介事も一つ減るだろう。
庭園では、工藤みやびは最初、お見合いに連れてこられた状況に戸惑っていたが、服部隼は教養があり紳士的で、会話も面白く、三人の若い女性たちを細やかに気遣ってくれた。
さらに、彼女が風邪で喉の調子が悪いことに気づき、特別に喉に良い温かい飲み物を用意させた。
また、あっさりした食事も用意され、次第にお見合いというよりも、楽しい友人の集まりのように感じ始めた。
鈴木紀子は料理が出されても食べる余裕もなく、目を輝かせながらスマホをいじり続け、服部深遠に何度か注意されてようやく言った。「工藤家のお金持ちのお嬢様、工藤みやびが一体どんな顔をしているのか調べているの?」
彼女の左隣に座っていた工藤みやびは口角を引きつらせた。「……」
「あぁ、どうして彼女の正面から撮った写真が一枚もないのかしら。」鈴木紀子は落胆してスマホを置き、つぶやいた。「マーティン・グリーンをプライベートデザイナーに雇って、毎日世界に一つしかないオーダーメイドを着るなんて、お金持ちの世界は想像を超えているわ。」
工藤みやびは礼儀正しく微笑んだ。亜蘭国の上流階級の名士にとって、このような生活は珍しくなかった。
工藤家は、ただ彼女により良いものを与えてくれただけだった。
鈴木紀子はニュースの検索を諦め、工藤みやびに向かってウインクした。
「雅、私のいとこはすごくかっこいいでしょ?」