第48章 盛世のぶりっこを演じるな

しばらくして、大島蓮美はまだこれが現実だと信じられず、恨めしそうに工藤みやびを睨みつけて言った。

「あの電話、何か細工したんでしょう。あれがMG株式会社の電話だなんて誰が信じるの？あなたみたいな十七、八歳の高校生が、MGについてどれだけ知っているっていうの？」

「丸山夫人、電話をかけたのは私です」服部隼は静かに注意した。

「本物かどうか、MGから訴状が届けば分かるでしょう」工藤みやびは軽く笑ったが、その目は冷たさに満ちていた。

荒木雅はファッション界や高級ブランドについてあまり詳しくないかもしれないが、彼女は工藤家で育ち、大島蓮美が想像もできないような世界を見て、使ってきたものだった。

彼女が二十歳になった時から、MGのデザイナーであるマーティン・グリーンは工藤家の専属デザイナーとして契約し、彼女の一年中の服や靴、バッグ、アクセサリーは全て彼がデザインしたものだった。だからMGの製品については彼女ほど詳しい人はいなかった。