中山里奈が去った後、中山美琴は電話を受け、電話の相手に部屋番号を伝えた。
工藤みやびは目を伏せてそこに座っていた。天盛メディアの山本社長はゴシップ紙で有名な色魔だった。
特に十代の若い女の子を弄ぶのが好きで、以前にはデビューしたばかりの新人モデルが彼に弄ばれて自殺したという報道もあった。
中山美琴は荒木家のすべてを奪った後、さらに彼女をこのような男に差し出そうとしている。なんと悪意に満ちた計算だろう。
数分後、部屋のドアベルが鳴り、中山美琴は熱心にドアを開けた。
「山本社長、やっと来てくださいましたね。」
ビール腹を突き出した中年男性が中山美琴に続いて入ってきて、色っぽい目つきでソファに座っている工藤みやびを一瞥した。
彼はこういう清楚で純粋な初心な子が好きだった。しかも、この容姿とスタイルは芸能界でも稀に見る絶世の美女だった。
元々は竹内家の竹内薫乃に目をつけていたのに、彼らは竹内薫乃よりも百倍も魅力的な逸品を用意してくれたのだ。
中山美琴は山本守が垂涎の表情を浮かべているのを見て、彼が自分の手配に満足していることを知り、こう言った。
「山本社長、人には満足していただけたようですが、私たち隆成との協力は…」
「ご安心を、竹内奥様がこれほど心遣いをしてくださったのですから、このプロジェクトは隆成グループと協力することにします。明日にでも契約の手配をしましょう。」
山本守の両目は貪欲に工藤みやびを見つめ、片手が思わず少女の細い太ももに触れた。
少女はまさに花のような年頃で、頭からつま先まで摘み取りたくなるような魅力に溢れていた。
工藤みやびは今日ジーンズを履いていて、ズボン越しではあったが、それでも気持ち悪くて吐き気がした。
中山美琴は明日にも契約できると聞いて、急いで山本守に感謝の言葉を述べ、さらに一言付け加えた。
「山本社長、それから娘の薫乃が出演したいと思っているあの映画について、何とか助けていただけないでしょうか。私たちの薫乃は最近人気が高いことをご存知でしょう。彼女がこの映画に出演すれば、きっと賞を取れるはずです…」
この映画は数々の大賞を受賞した有名な監督のもので、薫乃が女優主演を務めれば、賞を取るのは間違いないことだった。
隆成グループとのこの重要な協力があれば、すぐに彼らの竹内家は帝都の貴族や名流の仲間入りができるだろう。
あの上流階級の奥様たちが集まる喜芳庵は、いつも彼女の身分が足りないと言っていた。
この協力が手に入れば、彼女たちも彼女に加入を懇願するようになるだろう。
「できるだけ早く監督に話しておきます。女優主演は間違いなく竹内さんのものです。」
山本守は上機嫌で、すぐに承諾した。
「お手数をおかけします、山本社長。」中山美琴はへつらうように微笑み、工藤みやびを見る目はすぐに刃物のように冷たく鋭くなった。
「雅、わがままを言わないで。外で家もなく彷徨うよりも、山本社長についていけば衣食に困ることはないわ。こんなチャンス、他の人は求めても得られないのよ。」
「そんなに良いチャンスなら、なぜあなたの実の娘を行かせないの?」
工藤みやびは歯ぎしりして、氷のように冷たく鋭い目で相手を見つめた。
彼女をここに騙し、酒に薬を入れたのも。
結局は彼女に隆成グループとの契約を交換させ、竹内薫乃に映画の資源を得させるためだったのだ。
苦しみは彼女に食わせ、利益は彼らが取る。本当に計算高いやり方だ。
山本守はすでに色欲に駆られて焦っており、中山美琴に目配せして、早く立ち去るよう促した。彼の好事の邪魔をしないでほしいという意思表示だった。
「では明日、山本社長の良いお知らせをお待ちしています。」
中山美琴は喜びに満ちて去っていった。愛する娘にこの素晴らしいニュースを伝えるのが待ちきれなかった。