第27章 下賤な女と犬、永遠に続く愛

しかし、彼女がドアに辿り着く前に、部屋から山本守が豚のように悲鳴を上げる声が響いた。

中山美琴が急いで戻ると、さっきまで抵抗する力もなかった少女が、山本守の髪をつかみ、彼を激しく壁に叩きつけていた。

山本守はすでに頭から血を流し、目を白黒させて倒れていた。

「山本社長？山本社長？」

中山美琴は床に膝をついて、完全に気を失った山本守を呼びながら、怒りに燃えた目で暴力を振るった工藤みやびを睨みつけた。

「この人がどれだけ重要な人か分かってるの？わざと家族全員を巻き込んで不幸にしようとしてるの？」

彼らがどれほど苦労して山本社長との関係を築いたか、それが今や彼女のせいで台無しになった。

「あなたたちが私を不幸にしようとするなら、みんなで一緒に不幸になりましょう」

工藤みやびはティッシュを取り出し、ゆっくりと手についた血を拭き取った。

子供の頃に誘拐されたことがあるため、工藤家は彼女に護身術を教える武術の師匠をつけ、危険な状況から脱出できるようにしていた。

しかし長年、工藤家のボディガードに守られ、こっそり出かけても師匠が一緒だった。

学んだ武術を使う機会はなかったが、今日ようやく役に立った。

「あなた...あのお酒を飲んだはずでしょう？」

中山美琴は彼女の目が冴えていることを見て、さっきの薬が効いている様子が全くないことに気づいた。

彼女はドアの隙間から彼女が飲むのを目撃したのに、彼女が入れた量では、まだ人を殴る力があるはずがない。

「確かに飲みましたけど、後で吐き出しました」

彼女は中山里奈が良かれと思ってやることなどないと知っていた。彼女の前でシャンパンを飲んだのは、ただ警戒心を解かせるためで、すぐにトイレに行って吐き出した。

食べたランチまで吐いてしまったが、出てきたら、彼女たちは本性を現した。

本当は、さっき荷物を持ってすぐに出て行けば、中山里奈も彼女を止められなかっただろう。

しかし、彼女は彼らがどんな策略を企んでいるのか見たかった。

彼女たちは荒木雅には身寄りがないから、好きなように扱えると思っていたが、彼女は彼らの思い通りになる荒木雅ではない。

中山美琴は少女の邪悪で冷たい悪魔のような目を見て、恐怖を感じ始めた。