工藤みやびは花を捨てると、鈴木紀子から電話がかかってきて、彼女と西村千晴を自宅に招待された。
彼女はまず西村千晴と会い、一緒にタクシーで鈴木紀子の家へ向かった。
道中、また携帯が鳴り、出ると服部深遠老人の元気な声だった。
「荒木ちゃん、学校にいるかい?」
「用事があって休みを取りました、外にいます」と工藤みやびは答えた。
服部深遠は神秘的に笑って、「今どこにいるんだ?運転手を迎えに行かせるよ。大事な人に会わせたいんだ」
「服部さん、午後は約束があるので行けません」と工藤みやびは断った。
「この前、孫の雪也の話をしただろう。彼は最近海外から帰ってきたんだ。君に会わせたいと思って、君の写真を見せたんだが...」
「私の写真をどこで?」と工藤みやびは眉をひそめた。
「前に来た時に盗撮したんだよ」と服部深遠は言った後、孫を自慢し続けた。「うちの雪也はとてもハンサムで、性格も良くて、建築家なんだ。海外でたくさん賞を取っているんだよ...」
工藤みやびは電話を少し離して叫んだ。「服部さん、服部さん、ここは電波が悪くて、何て言ったか聞こえません、ああ、何て...」
彼女は電話を切り、すぐに携帯の電源を切った。
この老人は本気だった。前回、孫の嫁にしたいと言われた時にはきっぱり断ったのに、まだ諦めていなかった。
彼女はまだ学生で、高校も卒業していないのに、お見合いさせようとするなんて。
西村千晴は不思議そうに彼女が携帯の電源を切るのを見て、「誰からの電話?そんなに驚いて」
「変な老人よ。彼の孫とお見合いしろって言うの。私がまだ何歳か考えてもいないわ」と工藤みやびは頭を抱えて眉をひそめた。
最近は藤崎雪哉が戻ってくる前に引っ越せるよう、部屋探しに忙しかった。
もし見つからなければ、学校の寮に住むしかない。
ただ、中山里奈や山内三琴たちと一緒に住むのは本当に気分が悪かった。
「全然不思議じゃないわ。鈴木紀子だって毎日あなたと結婚したいって言ってるじゃない」と西村千晴はからかった。
以前、鈴木紀子が一番夢中だったのはアイドルの千明だったが、彼女と知り合ってからは千明は2番目になっていた。
完全に彼女、荒木雅の熱心なファンになっていて、会うと目から星が出るほどだった。
工藤みやびは考えてみると、鈴木紀子は確かにそんな感じだった。