第44章 これはMGの限定版2です

周りの女性客たちは傷つけられたMGの限定版バッグを見て、惜しいと思った。

MGは最高級の高級ブランドだが、ここ数年はほとんど新作が出ておらず、そのため商品はますます高価になっている。このような限定バッグは、お金があっても必ずしも買えるとは限らない。

「MGの限定版なら、少なくとも八、九十万はするでしょうね」

「世界に10個もないなら、数十万どころか、百万を超えるわ」

「MGは何年も新商品を出していないけど、出てくる商品はすべて天価よ。この小娘も酷すぎるわ。ちょっと言い合っただけで、こんな高価なバッグを台無しにするなんて」

……

大島蓮美の言葉で工藤みやびに敵意を抱いていた女性客たちは、彼女に対してさらに悪い印象を持った。

「荒木雅、このバッグは180万で買ったものよ。今は200万でも二度と手に入らないわ。あなたこれをこんな風にしたの?」丸山みやこは歯を食いしばって問いただした。

これは彼女のバッグで、今日は母親に貸して持ってきたものだった。それが今、こんな風に傷つけられてしまった。

工藤みやびはフォークをテーブルに投げ捨て、自分のした行為に少しも後悔の色を見せなかった。「さっき彼女が私に謝りさえすれば、ここまでする必要はなかったわ。今さら私のせいにするの?」

「あなたに少し言っただけで肉が減るわけじゃないでしょう。それなのに手を出すなんて。もう少し言ったら、今度はナイフで人を傷つけるつもりなの?」大島蓮美は傷ついたバッグを見て、心が痛んでたまらなかった。

すぐに藤崎奥様と今日のパーティーを主催している服部家の若奥様も駆けつけてきた。大島蓮美が怒り狂っている様子を見て、尋ねた。

「みやこ、何があったの?」

丸山みやこは悔しさで目に涙を浮かべ、傷ついたバッグを指さして言った。「母が雅がここに紛れ込んでいるのを見て、親切に立ち去るよう諭したのに、彼女は気に入らなくてナイフで母のバッグを傷つけたの。これはMGの限定版で、市場ではなかなか手に入らないものなのよ」

藤崎奥様は名家の出身だったので、もちろん名高いMG高級ブランドを知っていた。ここ数年MGはほとんど新作を出していないため、商品はさらに希少で高価になっていた。

丸山夫人が今日このバッグを持ってきたとき、彼女も少し羨ましく思っていた。

「荒木雅、本当にあなたがやったの?」