藤崎雪哉が出張から戻る前に引っ越しを済ませるため、工藤みやびは鈴木紀子たちと二日間休みを取って部屋を見に行き、毎日朝早くから夜遅くまで忙しく動き回っていた。
そのため、藤崎千颯がマンションに三回も訪ねてきたが、毎回空振りだった。
しかし、努力は報われるものだ。
彼女はついに小さなアパートを見つけた。しらゆりマンションの洗面所ほどの大きさしかなかったが、一人暮らしには十分だった。
家主と賃貸契約を交わし、手付金を支払い、家に戻って荷物をまとめようとしていたところ、鈴木紀子から会おうという電話がかかってきた。
ちょうど近くにいたので、彼女はそのまま向かった。
「ミュージカルのチケット買ったから、三人で見に行こうよ!」鈴木紀子は買ったチケットを振りながら言った。
「でも、まだやることがあるんだけど」工藤みやびは困った様子で言った。