第80章 ちゃんと勉強せずに、何の早恋だ

少女は怒りに満ちた目で引っ張られてきた工藤みやびを睨みつけ、彼の言葉を信じようとせず首を振った。

「信じないわ、あなたは嘘をついている、あなたには彼女なんていない、嘘つき……」

「彼女が僕の彼女だよ、僕たちは4年間付き合っている」少年は逃げようとする工藤みやびの手をしっかりと握り、強い口調で言った。

くそっ、誰があなたと4年も付き合ってるって？！

「お嬢さん、誤解されてますよ、私は本当に……」

「僕と雅は中学からずっと一緒だよ、ただ彼女は目立つのが嫌いだから、外部の人は知らないだけだ」少年は工藤みやびの言葉を遮り、はっきりと言った。

工藤みやびは話している少年を恐ろしげに見つめた。どうやら本当に荒木雅が知っている人物のようだ。

振られた少女は二人がずっと前から付き合っていたと聞いて、泣きながら走り去った。

「芝居はもう終わったでしょ、手を放してくれない？」

少年は彼女の手をしっかりと掴んで引き寄せ、二人の距離を縮めた。清潔感のある爽やかな顔が彼女の目の前に急に大きく映った。

「荒木雅、誰が芝居だって言った？」

「……」工藤みやびは眉をひそめた。そうでなければ何なの？

少年は彼女を数秒見つめ、軽く嘲笑した。「どうやら、君はすぐに自分が僕に書いたラブレターに何を書いたか忘れてしまったようだね？」

「ラブレター？」工藤みやびは眉を上げた。いつ彼にラブレターを書いたというの？

少年は彼女がまだ認めようとしないのを見て、歯を食いしばった。「中学3年生の時に1年間書き続けて、僕のために栄誠に転校してきたのに、今は忘れたって言うの？」

工藤みやびは突然何かを思い出したように、恐ろしげに目を見開いた。

くそっ、本当に彼にラブレターを書いていたんだ！

正確に言えば、荒木雅が彼に書いていたのだ。

彼女は先ほどから彼を見て見覚えがあると思っていたが、それは中学校で荒木雅と同じ学校だった少年、つまり現在の栄誠中学校で有名な学校一のイケメン秀才、今井律だったのだ。

成績は常に学年トップ、端正で目立つ容姿、さらに帝都の今井財閥の長男であるため、学校では女子たちに人気があった。

荒木雅は以前確かに彼を追いかけていて、彼のために栄誠中学校に転校してきたのだが、あの交通事故の後、彼女は気持ちが変わって藤崎雪哉を好きになったのだ。