前回の模擬試験で、数学の成績があまりにも惨めだったため。
夕食後、工藤みやびは早々に大学入試数学の模擬問題集を取り出して、一生懸命問題を解き始めた。
映画学院の専門試験には自信があったが、一般教科の成績にはまったく自信がなかった。
特に、荒木雅が長い休暇を取ったため、多くの授業を落としていた。
英語はまったく心配なく、国語も最近不足していた古典文学の部分を補充し、他の科目も真剣に勉強して復習したことで、かなり向上していた。
唯一数学だけは、最近藤崎雪哉に詰め込み教育をしてもらうしかなかった。
彼女が一生懸命問題を解いている間、藤崎雪哉はイヤホンをつけて窓際に立ち、アメリカの提携会社と通話していた。
大きな床から天井までの窓に映る男性の美しくて凛とした姿、低くて優雅な男性の声が静かな書斎に響いていた。