前回の配信イベント以来、工藤みやびの机には頻繁に様々なラブレターや小さなプレゼントが現れるようになった。
さらに、大胆な男子は彼女の前に立ちはだかって告白することもあった。
しかし、彼女が何も言う前に、西村千晴はすでに顔を曇らせ、男子の耳をつかんでいた。
「森彦、授業をサボって告白するなんて、お仕置きが欲しいのか?」
「いとこ、離して!離してよ!」男子は西村千晴に耳をつかまれ、一瞬でかっこいいイメージが崩れ去った。
工藤みやびは以前、西村千晴が前回の配信で、ゲーム配信をしているいとこが視聴者を集めるのを手伝ってくれたと言っていたことを思い出した。どうやらこの宮崎森彦がその人物のようだ。
宮崎森彦はやっとのことで自分の耳を解放し、不満げに言った。
「僕のラブレターを渡してくれないから、直接告白しに来るしかなかったんだ。」
前回の配信以来、彼は多くの告白の手紙を書いたが、いとこは一度も彼のために渡してくれなかった。
だから彼は休みを取って、栄誠中学校まで告白しに来たのだ。
「今すぐお母さんに電話するわよ?」西村千晴は脅した。
「母さんは他人と早すぎる恋愛はダメだけど、こんなに可愛い女の子なら大丈夫って言ってるよ。」宮崎森彦は得意げに言った。
西村千晴は歯ぎしりした。さすが母親譲りで、親子揃って節操がない。
宮崎森彦は西村千晴をかわして、再び彼女の前に飛び出した。
「荒木雅、僕の彼女になってよ。」
工藤みやびは乾いた笑いを浮かべ、「前回の配信のこと、手伝ってくれてありがとう…」
「お礼を言うなら、僕の彼女になって。」宮崎森彦は彼女の言葉を遮って言った。
西村千晴はスマホを取り出し、彼の後ろに立って言った。
「3つ数えるわ。それでも帰らないなら、あなたの女装写真全部をファンのグループに送るわよ。」
宮崎森彦は歯ぎしりし、振り返って足を引っ張るいとこを睨みつけた。
「西村千晴、お前本当に僕のいとこなの?」
「3。」
「西村千晴、そんなことするなら絶交だからね。」
「2。」
「……」
宮崎森彦は彼女が本気だと分かると、西村千晴を指差し、花を持ったまま校門から走り去った。
あっという間に、姿は見えなくなった。
西村千晴は彼が慌てて逃げる背中を見て、冷笑しながら唇を曲げた。
「行こう、あのバカは無視しておけば。」