怪我をした学生は保健室に行って包帯を巻き、工藤みやびと他の数人の女子学生は教導室に呼ばれた。
吉田金太は事情も聞かずに、いきなり彼女を叱りつけた。
「荒木雅、学校は勉強する場所であって、人と喧嘩したり殴り合ったりする場所ではない。」
「今度は刃物で人を傷つけたとは、すぐに保護者を呼びなさい。」
……
「その刃物は私のものではないし、人を傷つけたのも私ではない。」工藤みやびは冷たい表情で言った。
金髪の女子学生と数人の仲間たちは口を揃えて言った。
「明らかにあなたでしょ、認めないの?田中晶の彼氏を奪っただけでなく、人まで殴るなんて。」
「私一人であなたたち八人を殴ったって?随分と私を買いかぶってるわね。」工藤みやびは冷笑した。
「吉田主任、殴ったのは荒木雅です。さっき山内三琴が先生を探しに行った時、私はずっと近くで見ていました。」山内三琴と一緒にいた女子学生の一人が前に出て指摘した。
工藤みやびは言葉もなく溜息をついた。これは彼女に濡れ衣を着せようとしているのだ。
「あなたはやっていないと言うけど、これだけ多くの学生があなたが手を出して人を傷つけたと証言しているのに、まだ認めないの?」吉田金太は怒って机を叩いた。
「私は手を出していません。」工藤みやびは冷静に言った。
足を出しただけよ。
「言い訳はいい、保護者を呼びなさい。今すぐ反省文を書きなさい。書き終わるまで誰も帰れません。」吉田金太は彼女の言い分を全く信じなかった。
多くの人の証言の下、彼女が手を出して人を傷つけたと完全に断定していた。
山内三琴はその様子を見て、傍らで得意げに笑った。
前に二回も里奈をあんなに悲しませたのだから、今みんなが彼女を喧嘩の犯人だと指摘している。竹内家は学校に投資して教室棟を何棟も建てたのだから、里奈の叔母さんが一言言えば。
工藤みやびは退学にならなくても大きな処分を受けることになるだろう。帝都映画学院の入学審査はとても厳しく、芸術試験の成績と一般教科の成績だけでなく、中学で重大な過失があれば入学は許可されない。
西村千晴と鈴木紀子も一緒についてきて、入り口で立ち聞きしていたが、一群の人が黒白をひっくり返すのを聞いて、鈴木紀子は怒って中に飛び込んだ。