「……」
藤崎雪哉は冷静に電話を終え、切った後にソファに近づき、上から酔いに霞んだ目の少女を見下ろした。
「今、何て言った?」
工藤みやびは声を聞いて顔を上げ、彼に向かってもう一度言った。
「あなたと別れたいの!」
「理由は?」藤崎雪哉は低い声で追及した。
工藤みやびはソファに寄りかかり、クッションを抱きしめながらすり寄り、ぶつぶつと言った。
「あなたのことが好きじゃない、好きになれないの……」
藤崎雪哉の冷たい瞳が鋭く光った。「なぜだ?」
今日元婚約者に会ったから、昔の恋を蘇らせたいのか?
工藤みやびは抱きしめたクッションをさらに強く抱き、目を細めた。
「だって……あなたは藤崎雪哉だから。」
言い終わると、そのままクッションを抱いたままソファで眠りこけた。
藤崎千颯は兄の嵐が来そうな表情をちらりと見て、震えながら自分の部屋に逃げ込んだ。