第166章 荒木雅は想像以上に素晴らしい

竹内薫乃は不満ながらも、礼儀正しく化粧室に戻って身支度を続けた。

彼女は荒木雅が撮影初日の最初のシーンを演じたとしても、彼女が脇役であるという事実は変わらない。それも原作ファンに嫌われている脇役だ。

『長風』の撮影初日、安藤泰監督は工藤長風と小倉穂が平和市の月影亭で初めて出会うシーンを撮ることに決めた。

平安時代、黒鳶一門の大弟子である工藤長風が明月教の宝の地図を手に入れたという噂が広まり、各派の追跡と殺意を引き起こした。

月影亭は客で賑わっていた。

工藤長風は上等な女児紅を一杯注ぎ、自分の斜め後ろを横目で見た。

片手で酒杯を持ち上げ、もう一方の手をテーブルに置いた剣に伸ばすと、抑えられた殺気が酒楼の大広間に広がった。

彼の後ろに座っている二つのテーブルの人々の目には、貪欲さと殺意が輝いていた。