第207章 恋愛軍師・藤崎三の若様

会社にまだ処理すべき仕事があったため、藤崎雪哉は彼女を空港まで送った後、岡崎謙に車で会社に戻るよう指示した。

帰り道で、藤崎雪哉は別の場所で搭乗を待っている藤崎千明に電話をかけた。

「西新宿では、彼女が常に君の視界内にいることを確保しなければならない」

藤崎千明はそれを聞いて、面白そうに尋ねた。

「じゃあ彼女が寝るときは同じ部屋にいて、トイレに行くときも一緒についていくってことか」

二人が密かに恋愛関係にあることを知っている人はほとんどいなかった。荒木雅が彼の彼女だということを。

それなのに工藤家の人間が彼女に危害を加えるのではないかと恐れているとは。

「彼女が西新宿で何かあったら、お前はもう戻ってくるな」藤崎雪哉は厳しい口調で警告した。

藤崎千明は恐れるふりをして息を飲んだ。