第243章 彼の兄は恋愛に、こんなに純情なの?

藤崎千明は意味深に焦りの表情を浮かべる工藤みやびを見つめ、彼の兄なら仕事の速さからして、とっくにベッドで何度も転がり回っているだろうと思っていた。

「あの...藤崎の次男坊が言うように、兄さんはその方面で...」

「彼には全然問題ないわよ!」工藤みやびは彼を睨みつけた。

「それは科学的じゃないな、問題ないなら何で寝ないんだ?」藤崎千明には理解できなかった。

なるほど、兄さんの恋愛はこんなに純情なのか。

会うたびに、手を繋いだりキスしたりするだけなのか?

「あなたみたいに浮気性じゃないのよ」工藤みやびは反論した。

彼らがベッドを共にしないのがどうしたの?あなたに何の関係があるの?

藤崎千明は口をとがらせ、もう彼女と議論するのをやめた。

しかし、彼の冷血な兄は思っていた以上に彼女のことを好きなようだ、そうでなければこんなに細やかに彼女を大事にしないだろう。

番組の収録が終わると、皆は足早に試写会が開催される会場へと向かった。

試写会には一部のメディアと映画評論家、安藤さんを支持する映画界の友人たち、そして竹内薫乃と藤崎千明の二人のコアなファンが参加していた。

入場券を手に入れた一部のファン以外にも、多くのファンが試写会場の外で待っていた。

監督とプロデューサーがメディアに映画の紹介と公開日などについて説明し、その後メディアがクリエイティブスタッフにインタビューしたが、ほとんどの場合、インタビューされたのは竹内薫乃と藤崎千明だった。

工藤みやびも撮影現場で馬に乗って人を救った件についてインタビューされ、いつ乗馬を習ったのかなどを聞かれた。

試写会の後、映画の上映が行われ、工藤みやびを含む映画のクリエイティブスタッフも席に着いて一緒に鑑賞した。

映画の冒頭は、工藤長風が師門を裏切り、江湖の同門に追われるシーンから始まった。

藤崎千明の演技は素晴らしく、アクションシーンはキレがあり、侠客の気骨を十分に表現していた。

その後、平和市の月影亭に到着し、男装した小倉穂と出会うシーンへと移る。

工藤みやびの男装は非常に成功しており、中性的な美しさがあり、違和感は全くなかった。

扇子を使った武術シーンは、極めて流暢で鮮やかだった。

場面は変わり、小林清風が国境で奇策を用いて契丹軍を欺き、契丹騎馬隊の最初の攻撃を回避するシーンへ。