藤崎千明は意味深に焦りの表情を浮かべる工藤みやびを見つめ、彼の兄なら仕事の速さからして、とっくにベッドで何度も転がり回っているだろうと思っていた。
「あの...藤崎の次男坊が言うように、兄さんはその方面で...」
「彼には全然問題ないわよ!」工藤みやびは彼を睨みつけた。
「それは科学的じゃないな、問題ないなら何で寝ないんだ?」藤崎千明には理解できなかった。
なるほど、兄さんの恋愛はこんなに純情なのか。
会うたびに、手を繋いだりキスしたりするだけなのか?
「あなたみたいに浮気性じゃないのよ」工藤みやびは反論した。
彼らがベッドを共にしないのがどうしたの?あなたに何の関係があるの?
藤崎千明は口をとがらせ、もう彼女と議論するのをやめた。
しかし、彼の冷血な兄は思っていた以上に彼女のことを好きなようだ、そうでなければこんなに細やかに彼女を大事にしないだろう。