第244章 金を使って映画館を貸し切るなんて馬鹿げたこと

映画の上映が終わると、映画館内に雷のような拍手が響き渡った。

藤崎千明と竹内薫乃のファンたちはすぐに彼らの前に押し寄せ、それぞれの推しの演技を褒め称えていた。

工藤みやびだけは、マネージャーとアシスタントしかいない寂しい状況だった。

しかし、安藤泰監督の隣にいた映画評論家が、自ら彼女に挨拶をしに来た。

「荒木雅さん、あなたの演じた小倉穂は心に響きましたよ」

出番はそれほど多くない女二号だったが、映画全体を通して最も印象に残ったのは小倉穂だった。

さらに、今でも彼女が演じた全てのシーンを鮮明に覚えているほどだった。

彼はプロの映画評論家で、数え切れないほどの映画を観てきたが、若い世代の俳優の中で、彼女は初めて彼の目を見張らせた俳優だった。

彼女がわずか19歳だということが、信じがたいほどだった。