朝早く、工藤みやびは目を覚まし携帯を手に取ると、昨夜の深夜に送られてきた写真を見つけた。
写真の中の男性はカジュアルなホームウェア姿で、長い脚を組んでソファに優雅に座っていた。
いつもは冷たい眉目が珍しく柔らかさを漂わせ、美しい薄い唇には淡い笑みが浮かんでいた。
彼女はしばらく見つめていたが、マネージャーから電話がかかってきて、やっと起き上がって身支度を始めた。
車に乗ると、クマのある藤崎千明に横目で見られた。
「ほら、兄貴の写真が欲しいなら私に言えばいいじゃん。いくらでも送るよ。なんで直接彼に頼むんだよ?」
工藤みやび:「……」
なぜ二人の間のちょっとしたことが、いつも兄弟全員に知れ渡るのだろう。
藤崎千明は目を細めて休息を続けながら、「藤崎の次男坊が教えてくれたんだ」と言った。
彼女が写真を欲しがったせいで、藤崎の次男坊は夜中に兄に起こされて写真を撮らされたのだ。
そして、藤崎の次男坊は夜中に電話をかけてきて文句を言い、彼もよく眠れなかった。
午前中はメディアのインタビューが主で、インタビュー会場に着くとファンからのバラの花が届いていた。また「あなたは私の唯一」を象徴する101本だった。
工藤みやびはインタビューを終え、花を抱えて車に乗り込み、居眠りしている藤崎千明を足で軽く蹴った。
「ねえ、あなたのお兄さんに何か持って帰りたいんだけど、何がいいかな?」
彼は出張のたびに、彼女に高価なプレゼントを持ち帰っていた。
今週のプロモーションが終われば帰るので、彼女も手ぶらで帰るわけにはいかなかった。
藤崎千明は怠そうに鼻を鳴らした。「道端で拾ったゴミを持って帰っても、兄貴は同じように喜ぶよ」
今の兄の恋愛中の理性では、彼女が木の葉一枚かゴミの塊を持って帰っても、宝物のように扱うだろう。
「もういい、聞かなかったことにする」
工藤みやびはそれを聞いて、彼のアドバイスを求めることを直ちに諦めた。
昼のインタビューの後、午後はまた忙しいロードショーのプロモーション活動に取り掛かり、彼女はこの件についてこれ以上考える余裕がなかった。
ネット上で村上正弘が竹内薫乃の演技を批判する投稿をしたため、竹内薫乃は今日のプロモーション活動ではかなり控えめだった。