宮本明人は眉をひそめ、突然パニックになった人を見つめた。
「ただのリアリティショーで、CPファンを育てるだけだよ。誰がお前を殺すっていうんだ?」
「俺は...」藤崎千明は生きた心地がしないまま工藤みやびを見た。
心の中は苦しくて、言葉にできないほどの苦しみだ。
バンジージャンプのトラウマがまだ消えていないのに、また空に上がってスカイダイビングなんてしたくない。
工藤みやびは心虚ろに笑って、「どうしても行かなきゃいけないの?」
「リアリティショーのスポンサーは、三の若様が代表を務めるブランドだ。行かないわけにはいかない」と宮本明人は言った。
相手と番組制作側から積極的に招待されたし、もたらされる利益と知名度も相当なものだったので、彼はもちろん考えもせずに契約を結んだ。
結果、この若様が気まぐれに行かないと言い出した。
ただリアリティショーの撮影に行くだけなのに、死ねと言われているわけでもないのに。
藤崎千明は深呼吸を何度かして、工藤みやびに手招きした。
「ちょっと相談しよう」
工藤みやびは彼について数歩離れ、顔を見合わせる石橋林人と宮本明人を残した。
二人はとても仲が良さそうなのに、CPを演じさせようとすると死んでも嫌がる。これはあまりにも奇妙だった。
藤崎千明は腰に手を当て、直接言った。
「行かないわけにはいかない。自分で兄さんに言ってくれ」
「どう言っても承諾してくれるわけないでしょ」と工藤みやびは言った。
前回の誤解された噂だけでもあれほど深刻な結果になったのに、まして彼らが積極的にリアリティショーに出てCPを演じるなんて。
「知らないよ、色仕掛けでも、苦肉の策でも、自分で説得してくれ」と藤崎千明は言った。
「説得できないわ」と工藤みやびは答えた。
「お前が説得できないなら、俺に説得できるわけがないだろ?」藤崎千明は怒った。
「どう言えばいいの、これは無理でしょ」
工藤みやびは想像もできなかった。彼女が帰って、彼の弟と一緒にリアリティショーに出てCPを演じたいと言ったら、藤崎雪哉はどんな表情をするだろうか。
「教えなきゃいけないのか?もちろんベッドの中で言うんだよ。彼を満足させれば、何でも承諾してくれるさ」と藤崎千明は言った。
工藤みやびは眉をひそめた。「何を言ってるの?」