第283章 兄との戦いは無限の楽しみ

工藤みやび:「……」

きっと食べた上で、お前たち犬の命を残してやったんだろう。そうでなければどうなっていたか、あの二匹は怖気づいて自分たちで食べてしまったんだ。

実際、彼が彼らを懲らしめたのも無理はない。彼を何も刺激しなければ何も起こらないのに、あの二匹はわざわざ彼を挑発しようとする。

そして痛めつけられ、今度は兄に仕返しをしようとして、また兄に痛めつけられ、さらに仕返しを考える……

しかしあの二匹は、兄との戦いに終わりはなく、自滅への道をひた走り続けるつもりらしい……

「お婆さんはあなたにどれくらい滞在してほしいと?」藤崎雪哉は本を閉じて尋ねた。

「三日間、それから地方に行って番組の収録があるの」工藤みやびは正直に答えた。

藤崎お婆さんの後ろ盾があれば、このリアリティ番組はスムーズに撮影できるはずだ。

番組の撮影が終われば、ちょうど『追跡の眼』の撮影が始まる頃だ。

藤崎雪哉が近づいてきた。「じゃあ、僕はどうすればいい?」

工藤みやびは不思議と彼の言葉に少し不満を感じ取り、目をそらして周りを見回した。

「あなたは…仕事があれば仕事、やることがあればそれをすればいいじゃない」

「数ヶ月ぶりに帰ってきて、それもたった数日だけで、彼氏を放っておくつもりなの?」藤崎雪哉の眉が少し曇った。

「でも藤崎お婆さんも数ヶ月ぶりに帰ってきたのよ。彼女がいなかったら、今の私がどうなっていたか分からないわ。まず彼女と過ごすべきじゃない?」工藤みやびは反問した。

藤崎雪哉は仕方なく溜息をつき、彼女を腕の中に抱き寄せ、頭を下げて彼女の額にキスをした。

彼女が最も助けを必要としていた時、最初に彼女のそばにいたのはお婆さんであり、彼ではなかった。

それどころか、あの時は彼女を嫌い、厳しい態度で彼女を追い出したのだ。

しかし、あの時は自分がいつか彼女をこれほど気にかけ、好きになるとは思ってもみなかった……

「お婆さんの言うことを何でも聞くわけじゃないだろう?」

特に、彼に得をさせるなという言葉は。

彼女は彼が彼女を追いかけるのにどれほど苦労したか知っているのだろうか?

「わかってる、わかってるわ」工藤みやびは答えた。

いつも誰にも負けない彼が、今日は藤崎お婆さんに何度か言い負かされ、反撃もできない。