第307章 称職な彼氏

「……」

藤崎雪哉は少し考えた後、ベッドに留まることを決断した。

処理すべき仕事も重要だが、やはり彼女の方がもっと大切だ。

特に、ベッドで彼女を失望させるのは、男としての尊厳を損なうことになる。

書斎では、携帯と固定電話が鳴りっぱなしだった。

寝室では、耳元での囁きと、甘い雰囲気が漂っていた。

工藤みやびは藤崎雪哉が本間夢を見つけてしまうのではないかと恐れ、彼を離さないようにあらゆる手段を尽くして寝室に引き留めた。

日が暮れてから夜明けまで、本間夢のために大きな犠牲を払って時間を稼いだ。

藤崎雪哉は満足げな表情で、爽やかな様子で、疲れ果てた少女を後ろから抱きしめ、彼女の滑らかな首筋にキスをしながら笑って尋ねた。

「まだ欲しい?」

工藤みやびは窓の外の明るさをちらりと見て、力なく首を振った。