第308章 有能な彼氏2

「……」

藤崎千颯はそれを聞いて、歯ぎしりするほど怒った。

彼は知っていた、彼は知っていた、またも彼女のせいで……

仕事も、兄弟も、何もかも彼女より重要じゃないというのか?

「兄さん、あなたは本当に藤崎姓で、周姓じゃないの?」

「ん?」藤崎雪哉の声色が沈んだ。

激怒した藤崎千颯は彼の口調に全く気を配らず、勝手に愚痴をこぼした。

「あなたは女に狂った王と同じで、暗君になる素質があると思わない?」

彼が直接出張しなければならない会議だから、もちろん非常に重要なものだ。

彼女が具合が悪いという一言で、会議を延期するなんて。

暗君でなくて何だというのか?

何だというのか?

藤崎雪哉は冷たい声で問い返した:「もし私がそうだとしたら、お前はその発言にどんな結果が待っていると思う?」

藤崎千颯は3秒間呆然とし、急に口調を変えた。

「兄さん、会議は彼らと延期の相談をしておきます。あなたは家で彼女とゆっくり過ごしてください。仕事なんて何でもないです、もちろん彼女の方が大事です。お義姉さんによろしくお伝えください。」

一気に言い終えると、急いで電話を切った。

しかし、電話を切った後、向こう側で激しく罵った。

「暗君!外道!畜生!」

藤崎雪哉は藤崎千颯との通話を終え、部屋着に着替えた。

同じく一晩眠っていなかったが、まるで陰陽調和の術を修めたかのように、精力旺盛に書斎で仕事をこなした。

そして、口元には隠しきれない甘さがいつも漂っていた。

工藤みやびは午後まで眠り、昨夜起きた一幕一幕を思い出すと、布団に潜り込んで頭を覆い、できれば地面の割れ目に潜り込んで二度と出てこないほどだった。

当時は状況に迫られていたが、今になって思い返すと、恥ずかしさが爆発しそうだった。

藤崎雪哉は彼女が起きる頃だと見積もり、仕事を終えて戻ってきて、手を伸ばして布団をめくった。

「起きてお風呂に入って、何か食べてからまた寝なさい。」

「腰が痛い、足も痛い、全身が痛くて、起きたくない。」工藤みやびは布団の中に潜り込もうとした。

「浴槽にお湯を張ったから、少し浸かってみて。」

藤崎雪哉はそう言うと、布団をめくって彼女をベッドから抱き上げ、洗面所に連れて行った。