第290章 自滅小分隊隊長

早朝、藤崎雪哉が起床すると、彼女も一緒に早起きした。

一緒に朝食を取ると、藤崎千明が彼女を空港へ急かしに来た。

工藤みやびは時間を確認し、慌ててスーツケースを引きながら言った。

「行ってくるね。」

藤崎雪哉は少し顔を曇らせ、手元の朝刊をめくりながら、何気なく尋ねた。

「何か忘れ物はない?」

工藤みやびは玄関まで行って考え込んだ。「荷物は全部揃ってるよ。」

藤崎千明はサングラスをかけ、呆れた様子で促した。

「兄さんの顔見てみろよ。『早くキスして、出かける前にキスを忘れないで』って顔に書いてあるじゃないか。」

以前は気づかなかったが、彼の兄には二つの顔があるようだ。

以前は人前でも裏でも冷たく無情だったのに、今は彼女の前では、その真面目さが内心の色気を抑えきれず、あの手この手でキスやハグをねだっている。