第332章 本間夢との会合

工藤みやびは心の中でさらに不安になりながら笑った。「ただ仲がいいだけよ」

藤崎千明は、藤崎雪哉が石橋林人の一番のイケメンで、彼の最も理想的な彼氏候補だと言った。

でも、今や彼女の彼氏なのに。

だから、彼女も石橋林人に自分と藤崎雪哉が付き合っていることを言えなかった。

監督がすでに撮影準備を呼びかけていたので、石橋林人は腹一杯の疑問を抱えていても、彼女を引き止めてさらに質問を続けるわけにはいかなかった。

しかし、彼女の携帯電話に登録されている「やーちゃん」は、彼の最大の疑惑の対象となっていた。

帝都に戻ったら、この「やーちゃん」を必ず突き止めなければならない。

誰であれ、彼のタレントがまだ若いからといって、感情を弄ぶことは許さない。男でもダメ、女ならなおさらだ。

工藤みやびは当然、石橋林人が彼女と誰かの秘密の関係を疑っていることに気づいていたが、今はまだ藤崎雪哉との交際を公表するつもりはなかった。

特に、このマネージャーはずっと藤崎雪哉の美貌に目がくらんでいるので、彼にはなおさら言えなかった。

一日の撮影が終わり、ホテルに戻ると彼女はもう疲れ果てていた。

エレベーターホールに着くと、プライベートコンシェルジュが彼女のマネージャーとアシスタントに向かって言った。

「申し訳ありませんが、このフロアには重要なお客様が宿泊されているため、本日からこのフロアの宿泊者以外の方は上がれません」

工藤みやびは額に手を当てた。考えるまでもなく、これは藤崎雪哉の指示だった。

おそらく、男優が彼女を訪ねて台本の打ち合わせに来るのを防ぐためだろう。

石橋林人とアシスタントの岡崎は特に気にせず、エレベーターで別れを告げると、そのまま下の階の自分の部屋に戻った。

部屋に戻ると、彼女は隠しておいたもう一台の携帯電話を取り出し、本間夢が残した新しい番号にメッセージを送った。

彼女がもう眠りかけるまで、ようやく携帯が鳴った。

「やっと私に連絡してくれたのね。私のこの美貌と素晴らしいスタイルを毎日隠さなきゃいけないなんて、いつまでこんな風に隠れていればいいの？」

本間夢は電話に出るなり、彼女に不満をぶつけ始めた。

「早く会いましょう。場所を教えるわ」と工藤みやびは言った。