佐藤臣は扉の外で自分の髪型を整え、廊下の角にいる助手に目配せして、すべてを撮影するよう合図した。
しばらく経っても扉が開かないので、彼はドアベルを押して中の人を急かした。
工藤みやびは藤崎雪哉にシャワーを浴びるよう促してから、ドアを開けに出た。
しかし、彼を部屋に入れる様子はなかった。
佐藤臣は彼女が自分を招き入れる気配がないのを見て、「ずっと入り口で話すのは、不便じゃないですか」と言った。
工藤みやびは腕を組んでドア枠に寄りかかり、「ここで話すのが一番都合がいいと思いますけど」と返した。
彼女の言葉が終わるか終わらないかのうちに、エレベーターのドアが開き、彼女のマネージャーである石橋林人が勢いよく飛び出してきた。
廊下の角に隠れてスマホで盗撮していた佐藤臣の助手を一気に引っ張り出した。