第325章 彼女とスキャンダルを起こしたい人がいる2

工藤みやびは冷たく彼女の部屋のドアを押さえる手を一瞥し、警告した。

「もしこの業界で生き残りたいなら、今すぐ消えなさい」

彼女は既に、部屋の中から漂ってくる凛とした殺気を深く感じていた。

佐藤臣は自分に出て行けと言われても怒るどころか、むしろ笑いながら言った。

「みやび、悪気はないんだ。ただ前回『長風』であなたと共演できなかったのが残念で、今また同じ現場にいるのも何かの縁だと思って」

北川秋と同じ事務所だったため、『長風』のオーディションで北川秋に肩入れしたことが、思わぬことに自分も役を失う結果となった。

今や荒木雅の勢いは絶好調で、千秋芸能と契約し、『長風』と『追跡の眼』という二つの大作を手にしている。もはや彼と北川秋では抑えられる存在ではなくなっていた。

敵にできないなら、敵を味方にして関係を近づけるしかない。