第371章 このドッグフードを食べるしかないのか?2

体温計の結果によると、工藤みやびは確かに熱を出していた。

藤崎雪哉は温かい水を持ってきて彼女に一杯飲ませた後、池田輝に彼女の熱を下げる方法を考えるよう急かした。

池田輝はテーブルの上の風邪薬を調べながら、不機嫌に文句を言った。

「こんな軽い風邪なら、薬を飲んで一、二日休めば良くなるよ。俺を引っ張ってきて何ができるっていうんだ?」

頼むよ、彼は手術で人命を救う医者であって、風邪を診る医者ではない。

「待て、三時間経っても熱が下がらなかったら、お前の判断だ」と藤崎雪哉は言った。

池田輝は怒りで部屋を行ったり来たりした。「ボス、今回の論文の受賞は四年間準備してきたんだ。この服装も賞を受け取るために大金をかけて用意したんだぞ。君の彼女の軽い風邪のためにこんな大事なことを台無しにするなんて、良心が痛まないのか?」

言い終わると、また呆れたため息をついた。

彼はどうして忘れていたのだろう、彼には良心などないのだから、もちろん痛むはずがない。

藤崎雪哉は少し考えてから言った。

「誰かに頼んで代わりに受け取ってもらうよう手配する」

「俺は...」

池田輝は腹一杯の罵詈雑言を抑えていたが、彼の前では一言も言う勇気がなかった。

彼は深呼吸をして、ベッドの側に駆け寄り工藤みやびに頼み込んだ。

「お義姉さん、今日は本当に大事な日なんです。行かせてください!」

あの論文のために、彼はあれほど多くの実験と検証を行い、やっと受賞の日を迎えたのだ。

彼が行けるかどうかは、藤崎雪哉ではなく、彼の彼女次第だった。

工藤みやびは思い出した。以前確かにグループチャットで池田輝の論文が受賞したという話を見ていた。

しかし受賞式の日にここに連れてこられるとは、確かに可哀想だった。

そこで、藤崎雪哉に頼んだ。

「やっぱり彼を行かせてあげて。私は薬を飲んで少し寝れば良くなるから」

藤崎雪哉は彼女の掛け布団を引き上げた。「お前が良くなったら、彼は行ってもいい」

工藤みやびは唇を噛み、どうすることもできない様子で池田輝を見た。

彼女の言葉が効く事もあるが、何を言っても効かないこともあるのだ。

池田輝は怒ってソファに座り、イライラと足を揺らした。

若い頃の友人選びを誤り、今では絶交するにも遅すぎた。