第372章 私はただあなたの美貌に目がくらんでいるだけ

「……」

工藤みやびは瞬きをして、少し考えてから尋ねた。

「藤崎雪哉、あなたは真剣に考えたことがある?自分が私のどこを好きなのか」

工藤司はかつて彼女のことが好きだと言い、最高の生活を与えると約束した。それは彼女がドランス家から工藤家に預けられた存在だったからだ。

彼女の存在は、工藤家にとってかなりの利益をもたらすものだった。

でも、藤崎雪哉は彼女のどこが好きなのだろう?

ずっと彼女は彼の助けと愛情を受けるばかりで、彼に何も与えていないような気がしていた。

この世に、理由のない好意などない。

藤崎雪哉は少し考えて、「たくさんある」と答えた。

工藤みやびは自分を振り返ってみた。確かに長所はいくつかあるけれど、そんなにたくさんあるようには思えない。

彼の言う「たくさん」とは、一体どれくらいなのだろう?