第344章 堀夏縁と同じ舞台で競演

堀夏縁は大画面に表示された名前を見て、顔色が一瞬変わった。

しかし、それでも微笑みながらマイクを手に取り、大画面に表示された名前を呼んだ。

「荒木雅さん、どうぞステージへ」

工藤みやびは大画面に自分の名前が表示されるのを見て一瞬驚いた。まさか堀夏縁と同じステージに立つことになるとは思ってもみなかった。

彼女はあの気持ち悪い顔に近距離で向き合いたくなかった。

藤崎千明は同情的な目で彼女を見た。「今日は運が悪いね」

言ってから、何かを思い出したように急いで自分の口を叩いた。

「余計なこと言っちゃった」

うーん、もし彼女が後で彼の兄と会って、情熱的になったりしたら、それは兄を侮辱したことになるじゃないか。

工藤みやびは気が進まなかったが、それでもスポットライトが当たると同時に、微笑みながら席を立ってステージへ向かった。

シンプルでフィットした白いドレス姿で、照明の中で堂々とステージに向かい、マイクを受け取って笑顔で挨拶した。

「皆さん、こんにちは。荒木雅です」

堀夏縁は優雅に微笑んだ。「こんにちは、また会いましたね?」

イベントの創設者である白井さんは驚き、喜んで尋ねた。

「お二人はご存知なんですか?」

「以前、西新宿映画祭で一度お会いしました」工藤みやびは簡潔に答えた。

堀夏縁は笑顔でうなずいたが、それ以上の説明はしなかった。

正直に言えば、彼女はこの人にもう会いたくなかった。

前回、工藤邸を訪問した後、彼女はしばらくの間なぜか不安を感じていた。

また、前回彼女が工藤みやびがよく弾いていた曲を弾いたことで、工藤司が彼女の中に工藤みやびの面影を見るのではないかと心配していた。

イベントの創設者はイヤホンを通して、舞台裏からこの新人についての情報を受け取った。

「荒木さんが演じた小倉穂は非常に印象的でした。最近は土屋凪翔監督の『追跡の眼』を撮影中だとか?」

正直なところ、最初はこの若い女の子をあまり評価していなかった。

しかし情報を知った後は信じられない思いだった。わずか19歳で『長風』の女性第二主役を演じて高い評価を得て、すぐに土屋の新作に抜擢されるなんて。

こんな若さでここまで来るとは、本当に信じられないことだった。

しかし、伝説のトップ女優の堀さんと同じステージに立つには、まだまだ格が違いすぎた。