第345章 堀夏縁と同じ舞台で競演2

工藤みやびと堀夏縁は礼儀正しく握手を交わし、それぞれ後ろに用意された録音室へ向かった。

彼女が到着した時、藤崎千明とマネージャーの石橋林人もやって来ていた。

「二人とも何しに来たの?」

「応援に決まってるじゃん」

藤崎千明はさっきまでの眠そうな様子から一変し、自分が出場するよりも興奮していた。

「全力を出して、あいつの顔に思いっきりぶつけてやれ」

あんなに見栄を張っていたなんて、彼はもう長い間我慢していたのだ。

「言われなくても、そのつもりよ」

工藤みやびはそう言うと、ハイヒールを脱いで録音室に入り準備を始めた。

藤崎千明は彼女がすぐに録音を始めようとしているのを見て、慌てて止めた。

「ちょっと待って、原作のシーンを探してくるから、まずそれを見て感覚を掴んで」

工藤みやびは彼を一瞥した。『命果てぬ夢』のセリフは全て暗唱できるが、見ないのも少し怪しまれるかもしれない。