第379章 私はお酒を飲んだり男を漁りに来たわけではない

バーの中は薄暗く、至る所にアルコールの匂いとタバコの煙が漂っていた。

本間夢はかっこいい黒のライダースジャケットを身にまとい、顔には短いひげを貼り付け、眉毛を特に太く描いていた。見た目は本当に男性と変わらなかった。

特に、今タバコをくわえて煙を吐き出している姿は、彼女を前から知っていなければ女性だとは分からないほどだった。

「師匠は何と言っていた?」

工藤みやびはここに長居したくなかったので、直接自分の気になることを尋ねた。

本間夢はボトルを開け、片手にタバコを挟みながら、もう片方の手で彼女にお酒を注いだ。

「せっかく会えたのに、そんなに急いでどうしたの?」

「姉さん、私は1時間以内に戻らないと。誰かに見つかったら大変なことになるわ」工藤みやびは小声で言った。

くそっ、もし彼女がこんな場所に来ていることが知られたら、ファンに知れたらネットが炎上するし、藤崎雪哉が知ったらもっと大変なことになる。