工藤みやびはそれを聞くと、緊張して周りを見回した。
「あなた、正気?こんな時に彼を連れ出すなんて?」
「あなたの話をしたら、どうしてもあなたに会いたいって騒ぎ出して、連れてこないと絶食すると言うの」本間夢は無奈に肩をすくめた。
工藤みやびは時間を確認し、「場所は遠い?」
「すぐ近くよ、数分で着くわ」
本間夢は彼女をバーの裏口から連れ出し、小さな路地を少し歩いて、ある太陽保育園に着いた。
工藤みやびは窓の外に立ち、おもちゃ部屋にいる小さな子供たちの群れを見つめたが、しばらく見ても福くんの姿は見つからなかった。
「月先生!」本間夢は教室内の幼稚園の先生に手を振った。
若い先生は子供たちをなだめてから、ドアのところまで来て恥ずかしそうに尋ねた。
「丸山さん、いらっしゃいましたね」