第399章 旦那様と呼んで2

「藤崎雪哉、あなたはやりすぎよ！」工藤みやびは怒って図々しい男を睨みつけた。

藤崎雪哉は時間を確認して言った。

「うん、今ならまだ役所は閉まってないから、もしよければ……」

工藤みやびは泣きそうな顔で口にした。

「……ダーリン。」

彼女がダーリンと呼ばないと、彼はまた前回のように彼女を役所に引きずっていって結婚を迫るつもりなのだろうか。

藤崎雪哉は困ったように眉をひそめたが、目の奥には既に思い通りになった笑みが浮かんでいた。

「声が小さくて、聞こえなかったよ。」

工藤みやびは歯を食いしばって、もう一度呼んだ。

「ダーリン！」

なぜ彼女は撮影を急いで、早めに帰ってきてこの図々しい男に付き合わなければならないのか。

外の世界は美しくて自由じゃないのか？

藤崎雪哉は彼女が本当に怒りそうなのを見て、これ以上からかうのはやめて、彼女を起こし上がらせた。

そして、彼女を手洗い場に連れて行き、ハンドソープを使って指輪を外してあげた。

工藤みやびは手を洗い、拭いてから手を差し出して言った。

「返して。」

藤崎雪哉は指輪を彼女の手のひらに置いた。「次にこんなことがあったら、試着だけでは済まないよ。」

彼女が自分から結婚を考え始めたという発見だけで、彼は十分に嬉しかった。

もともとはまだまだ待たなければならないと思っていた。

今見ると、そう長くはかからないだろう。

「どうしたの、またプロポーズを強要するつもり？」工藤みやびは眉を上げた。

藤崎雪哉はちょっと考えて、「ずっと前から考えていたよ」と言った。

どうせ前にもやったことだし、経験があるから手慣れたものだ。

工藤みやびは指輪を持って出て行き、指輪ケースに戻して、注意深くしまった。

「最近忙しいって言ってたのに、こんなに早く帰ってきて大丈夫なの？」

「重要なことは会社で既に処理したから、残りは家に帰ってからでも影響ないよ。」

藤崎雪哉はそう言いながら、彼女の後ろに立って彼女を腕の中に抱き込んだ。

彼女が仕事を急いで早めに帰ってきたのに、彼が仕事のために彼女を一人家に置いておくわけにはいかない。

二人が主寝室で甘い時間を過ごしていると、アシスタントの岡崎謙がドアの外で咳払いをした。

「藤崎社長、海外企業とのビデオ会議が始まります。」