第360章 藤崎雪哉:彼女のことは、私のことだ

てっきり、堀夏縁を打ち負かす件は、藤崎千明が出てくるだろうと思っていた。

工藤司は、これは藤崎家と工藤家の恨みによるものだと考え、彼女のような小さな存在のことは思い出さないだろうと。

それに、彼女は沈黙を守ることを約束し、実際に外部に何も言っていなかった。

堀夏縁が病院に入院したと言われているのではないか?

彼は病院で付き添わず、彼女のマネージャーを使って彼女をここに呼び出して会おうとしている。一体何をしようとしているのか?

「工藤さん、堀夏縁さんの件について、私は何の意見も表明していません。三の若様が何を言おうと、私には止められません」

工藤司は堀夏縁の件について追及せず、手で向かい側の席を指した。

「座りなさい」

工藤みやびは彼の向かいに座り、表情は落ち着いていた。