第364章 浪費家の男 藤崎雪哉

しらゆりマンション。

藤崎雪哉は国際ビデオ会議を終え、彼女と夕食を共にした後、彼女を連れて出かけた。

しかし、直接帝都空港へ向かうのではなく、藤崎グループからそう遠くない小さな空港へ行った。

工藤みやびは空港に停まっているガルフストリームG650のプライベートジェットを見て、横にいる浪費家の男を見た。

「いつ買ったの？」

藤崎雪哉は彼女の手を引いて飛行機に乗り込んでから答えた。

「最近だ。君に会いに行くのに便利だからな。」

彼女はこの映画の撮影で、あと数ヶ月は撮影現場にいなければならず、彼自身も仕事が忙しい。

彼女が会いに行くとしても、タイミングよく利用できる便があるとは限らないし、往復の移動や待ち時間でも時間を無駄にしてしまう。

「自分が浪費家なのに、私を言い訳にしないで。」工藤みやびは鼻を鳴らした。

彼女自身も贅沢な生活に慣れていたが、遠距離恋愛の会う便宜のために、何も言わずにプライベートジェットを買うという行為には、まだ...同意できなかった。

藤崎雪哉は座り、人に毛布を持ってきてもらい彼女にかけた。

「到着まであと1、2時間かかる。私はまだ書類を見なければならないから、少し仮眠を取って、着いたら起こすよ。」

工藤みやびは座席を調整し、目を閉じて眠りに入った。明日の朝早くから彼女のシーンの撮影があるので、確かにしっかり休む必要があった。

彼女はだんだん眠りに落ち、藤崎雪哉は書類を処理する合間に横を向いて彼女を見つめ、口元に柔らかな弧を描いてから、再び仕事に没頭した。

帝都から『追跡の眼』の撮影地までは2時間もかからなかった。

プライベートジェットの座席は広々として快適で、工藤みやびはぐっすり眠っていた。藤崎雪哉は彼女を起こすのが忍びなく、毛布で彼女を包み、そのまま抱えて飛行機から降り、車に乗せた。

ホテルに着くまで、工藤みやびはうとうとしながらようやく目を覚ました。

そして気づいたのは、藤崎雪哉が彼女を送り届けただけでなく、自分の荷物も持ってきており、プライベートハウスキーパーが彼女の荷物の整理を手伝っていることだった。

「これって...長期滞在するつもり？」

藤崎雪哉は彼女が目を覚ましたのを見て、率直に言った。

「言っただろう、俺は遠距離恋愛が好きじゃないと。」