午後の仕事が早く終わったため、工藤みやびは早々に天水ヴィラに帰った。
以前、藤崎千明に話していた千秋芸能の映画製作の件について、彼は本当に人を手配して進めていた。
そして、石橋林人に脚本をたくさん持ってこさせ、彼女が撮りたいものを自分で選ばせるようにした。
しかし、送られてきた脚本のほとんどは、ここ2年間の日本でヒットした映画の二番煎じのようなものばかりだった。
堀夏縁の「命果てぬ夢2」が使い回しだとしても、藤崎千明が人に探させたこれらの脚本は、使い回しにも及ばないものだった。
彼女は2時間見続けて、頭が痛くなってきた。
藤崎雪哉が帰宅し、彼女がリビングで山積みの脚本を前に眉をひそめているのを見て、上着を置いて近づき座った。
工藤みやびは彼を一瞥し、不思議そうに尋ねた。
「今日何かあったの?こんなに機嫌がいいなんて」
藤崎雪哉が話す前に、藤崎千颯はすでに本間夢が送ってきた写真をテーブルに叩きつけていた。
「今日、兄貴がこれを受け取ったんだ」
工藤みやびはそれを手に取って一目見ると、見るに耐えずテーブルに伏せ、歯ぎしりした。
彼女の師匠は一体何をしているのか、この節操のない奥さんを少しは管理できないのか?
藤崎雪哉は彼女の表情を見て、この写真が彼女が送らせたものではなく、相手が勝手に送ってきたものだと確信した。
「君の友達は...とても狡猾だね」
彼は三浦大也に送信元のIPを調査させたが、なんと海外のプロキシサーバーを通じて送られてきたもので、本人の所在地を突き止めることができなかった。
工藤みやびは額を押さえた。彼女が彼らの「不倫関係」を否定し、藤崎雪哉に自分が女性であることを証明したいとしても。
くそっ、ビキニを着る必要はないだろう。こんな写真を他人の彼氏に送るなんて、彼女の気持ちを考えたことがあるのだろうか?
「写真が合成でなくて、女性の体だとしても、誰が性転換手術を受けたものじゃないって言い切れるんだ?」
藤崎千颯は鼻で笑いながら言った。
「あんたが数日で性転換してそうなってみせてよ?」工藤みやびは反問した。
このバカは本当にもう十分だ。そんなに彼女に兄の浮気相手になってほしいのか?
藤崎千颯は彼女の質問に答えられず、話題を変えた。