「……」
石橋林人は数秒間呆然としていた。この言葉は何だか……特に問題はないようだ。
もし男神が女性と付き合うなら、彼女は確かに他の女性よりも受け入れやすいかもしれない。
工藤みやびは彼が少し受け入れたようだと見て、彼の肩を叩きながら言った。
「安心して、あなたの男神を大切にするわ」
石橋林人はまだ諦めきれず、声を低くして尋ねた。
「社長は本当に……少しもゲイじゃないんですか?」
「……」
工藤みやびの笑顔は一瞬で崩れ、冷たく低い声で言った。
「もしあなたが私の男を狙い続けるなら、マネージャーを変えた方がいいかもしれないわね」
「ただ聞いただけで、本当に手を出すつもりはないですよ。手を出すつもりなら、とっくにやってますって」石橋林人は腕を組んで鼻を鳴らした。
工藤みやびは台本をめくりながら、小声で言った。
「あなたが手を出さなくて良かったわ。さもなければ、あなたのお墓の上の草がどれだけ伸びているか分からないわよ」
石橋林人は何度か深呼吸をして、スマホを取り出し暗号化されたアルバムを開き、大切に保存していた男神の写真を惜しげもなく眺めた。
一枚削除するたびに、心臓がドキッとした。
工藤みやびはさりげなく一瞥し、眉を上げた。
「こんなにたくさんの写真をどこで手に入れたの?」
しかも、全部藤崎雪哉のものだった。
報道の写真もあれば、完全にプライベートな家での写真もあった。
「ニュース報道のものと、三の若様が売ってくれたものです」石橋林人は一枚を半日見つめてから、やっと惜しみながら削除した。
工藤みやびは一気にスマホを奪い取り、全選択して削除を一気に完了させた。
そして、スマホを彼に返した。
「まだ見終わってないのに!」石橋林人は怒って言った。
長年大切にしてきたコレクションが、彼女によって一瞬で全て削除されてしまった。
「第一に彼はゲイじゃない、第二に彼にはもう相手がいる、第三にあなたのことを長い間我慢してきたのよ」工藤みやびは警告した。
「あなたは……」
石橋林人は彼女を指さし、怒りながらも何もできなかった。
工藤みやびは台本を閉じ、彼のスマホにあった藤崎雪哉のプライベート写真が全て藤崎千明が彼に売ったものだと思い出し、こっそり拳を握りしめた。