第367章 堀夏縁は恐怖で死にかけた

藤崎雪哉が工藤みやびをドラマの撮影現場に送った夜、帝都グランドホテルに戻った工藤司は一睡もできなかった。

黒田志雄は堀夏縁の情報を追跡するよう人に命じたが、数時間経っても確かな情報は得られなかった。

「帝都は広大で、しかも藤崎家の勢力範囲だ。彼が意図的に人を隠せば、我々が見つけるのは一時的に難しいだろう」

工藤司はバーキャビネットを開け、ウイスキーをグラスに注ぎ、軽く一口飲んだ。

「今はエンタメ記者たちが厳しく監視している。もう探す必要はない。時が来れば彼女を解放するだろう」

「しかし、藤崎家の者が堀夏縁さんに危害を加えるようなことがあれば……」黒田志雄は言いかけて止めた。

工藤家と藤崎家の恨みは、すでに一つや二つの命の借りではなかった。

「もし彼がそこまでするなら、彼の小さな彼女も安泰ではいられないだろう」工藤司の目に冷たい光が宿った。