第368章 私は医者であって、子授け観音様ではない

堀夏縁が戻された朝、藤崎雪哉を倒す小チームのグループチャットで、池田輝が一つの動画を投稿した。

動画の内容は、彼の実験室の監視カメラ映像で、監視カメラには堀夏縁が閉じ込められて恐怖に叫んでいる様子が映っていた。

工藤みやびは撮影に行っていてグループメッセージに気づかなかったが、ちょうど出勤した藤崎千颯と海外へ向かう空港に向かっていた藤崎千明が先に見た。

[マジかよ、兄貴がまさか人をあそこに閉じ込めるなんて？]

池田輝というサイコパスには、人体標本実験室があり、実験室にはホルマリン漬けの死体標本や人骨格が展示されていた。

藤崎千颯は実験室が完成したばかりの時、藤崎千明に騙されて一度行ったことがあり、ほとんど漏らすところだった。

彼の兄がこんなにもサイコで、工藤司の婚約者をあんな恐ろしい場所に閉じ込めるなんて、しかも一晩中。

藤崎千明は好奇心から尋ねた：[トップ女優の堀さんは死ぬほど怖がった？]

池田輝：[死んではいないが、半死半生だった。ちょうど運び出されたところだ。]

もともと彼は藤崎千颯兄弟が兄を怒らせて、兄が鍵を借りたのは彼らを閉じ込めるためだと思っていた。

しかし、監視カメラを見てみると、閉じ込められたのは女性で、しかもここ数日ネットで大人気のトップ女優堀夏縁だった。

藤崎千明：[兄貴の日常的な行動だよ、全く驚かない。]

彼らのような実の弟にも容赦しないのだから、まして他人なら尚更だ。

工藤司が本当にお義姉さんに何かしていなくて良かった。そうでなければ、兄は堀女優さんを人体標本見学に招待するだけでなく、彼女を人体標本にしていただろう。

一晩中残業した藤崎千颯は、クマを作りながらオフィスで携帯を持って返信した。

[お前らさっさと「小悪魔ちゃん計画」を実行する方法を考えろよ。俺はこの残業で若くして死にそうだ。]

藤崎千明：[池田輝、お前は医者だろ、早く何か考えろよ。俺は利子が倍になって、生きた心地がしない。]

池田輝は返信した：[うせろ、俺は医者だ、子授け観音様じゃない！]

藤崎千明：[そういえば、昨夜石橋林人が言ってたけど、工藤司はお義姉さんを亜蘭国に連れ帰るつもりらしいぞ。]

藤崎千颯：[くそ、自分の皿の料理を食べながら、他人の皿も狙うとは。]

池田輝：[工藤司が兄貴に対抗するなら、俺たちは喜ぶべきじゃないのか？]