第425章 自分を大したものだと思い込んでいる

工藤みやびの予想通り、堀夏縁はMGとのアジア地域代表契約を解除した後、三日目に黒田志雄の付き添いでパリの「ミューズ」本社を訪れた。

メリン・カーニルは秘書からの通知を受けた後、すぐには人を招き入れなかった。

むしろ、自分の作品を完成させてから設計事務所を出て、荷物を持って帰宅する準備をしていた。

「メリン、黒田さんがあなたとの面会を待っています。」

メリン・カーニルはそれを聞いて、時間を確認してから言った。

「彼を通してください。」

二分後、黒田志雄と堀夏縁はメリンの秘書に案内されて応接室に入った。

「メリン・カーニルさん、こんにちは。私は黒田志雄です。」

黒田志雄は名乗り、両手で名刺を差し出した。

メリン・カーニルは名刺をちらりと見て、直接言った。

「何の用件か簡潔に言ってください。食事に急いでいるので。」

「ミューズが代表モデルを探していると聞きました。堀夏縁さんがミューズの代表になれることを希望しています。」と黒田志雄は言った。

「堀夏縁?」メリン・カーニルは眉をひそめて尋ねた、「誰ですか?」

黒田志雄と一緒に来た堀夏縁は、顔色が悪くなり、無理に笑顔を作って言った。

「カーニルさん、数日前にミラノでお会いしたばかりですが?」

メリン・カーニルは堀夏縁を見て少し考え、マーティンのスタジオでこの女性を見かけたことを思い出した。

「堀夏縁さんは『命果てぬ夢』の主演で、十数の国際映画賞を受賞しています。彼女の知名度はミューズブランドの代表として最適です。」黒田志雄は彼らの来意を説明した。

メリン・カーニルはそれを聞いて、化粧の施された優雅な女性をちらりと見て、冷ややかに言った。

「申し訳ありませんが、このような代表は必要ありません。」

「カーニルさん、工藤グループはあなた方のこの協力を実現させたいと思っています。」黒田志雄は厳しい表情で言った。

言葉には表していないが、明らかに工藤司が彼に堀夏縁をミューズの代表にしてほしいと望んでいることを示唆していた。

メリン・カーニルは冷たく笑って、「今やどんな二流の人間でもミューズの代表になる自信があるのですね?」

二流だって?!

堀夏縁は相手がそう自分を指したのを聞いて、顔色が青白くなった。

黒田志雄:「カーニルさん、あなたの言葉遣いに注意してください!」