第425章 自分を大したものだと思い込んでいる

工藤みやびの予想通り、堀夏縁はMGとのアジア地域代表契約を解除した後、三日目に黒田志雄の付き添いでパリの「ミューズ」本社を訪れた。

メリン・カーニルは秘書からの通知を受けた後、すぐには人を招き入れなかった。

むしろ、自分の作品を完成させてから設計事務所を出て、荷物を持って帰宅する準備をしていた。

「メリン、黒田さんがあなたとの面会を待っています。」

メリン・カーニルはそれを聞いて、時間を確認してから言った。

「彼を通してください。」

二分後、黒田志雄と堀夏縁はメリンの秘書に案内されて応接室に入った。

「メリン・カーニルさん、こんにちは。私は黒田志雄です。」

黒田志雄は名乗り、両手で名刺を差し出した。

メリン・カーニルは名刺をちらりと見て、直接言った。

「何の用件か簡潔に言ってください。食事に急いでいるので。」