長い間、主寝室から艶めかしい音が絶えなかった。
工藤みやびは全身が潮紅に染まり、細かい汗が滲み、下のシーツを掴んで身体を弓なりに反らせた。
男の首筋に顔を埋め、唇を噛んで鳴き声を漏らした。
藤崎雪哉は顔を下げ、花びらのように赤い唇を優しくキスしたが、求める行為は少しも優しくなかった。
……
久しぶりの愛の営みは、思う存分に終わった。
工藤みやびは息が乱れ、彼を抱きしめる男の体に一発パンチを食らわせた。
「これがあなたの言う『できるだけ早く』?」
藤崎雪哉は汗を流し、汗で濡れた頬にキスをした。
「シャワーを浴びて、空港に送るよ。」
工藤みやびは彼に自分をシャワーに連れて行くことを断固として拒否し、彼の腕から抜け出して自分でコートを羽織り、服を拾い集めた。
「あなた時間がないんじゃないの?本当に時間を節約しなくていいの?」
「いらない!」
工藤みやびは服を抱えてバスルームに入り、ドアを鍵をかけてからシャワーを浴びた。
藤崎雪哉はバスローブを羽織って立ち上がり、プライベートジェットの乗務員に連絡を取り、準備をするよう指示した。
そして、自分は別のゲストルームのバスルームでシャワーを浴び、服を着替えた。
午前3時、ようやく彼女を空港に送り届けた。
「さっき夕食を食べなかったから、機内で何か食べてから休んで。」
工藤みやびは疲れた様子で頷いた。一日中撮影をして飛行機で戻り、さらに2時間も搾り取られ、今はただ頭を下ろして眠れる場所が欲しかった。
藤崎雪哉は名残惜しそうに彼女の冷たい額にキスをした。「最近の仕事が終わったら、すぐに行くよ。」
「いいわ、撮影は年明け前に終わるから。」工藤みやびは手を伸ばして彼を抱きしめ、小声で言った。
「あなたはしっかり仕事して、しっかり休んで、私が帰るのを待っていて。」
藤崎雪哉は軽く笑い、彼女の頭を撫でながら、彼女が飛行機に乗るのを見送った。
飛行機が離陸するまで見届けてから、やっと車を走らせて空港を後にした。
……
藤崎千颯は天水ヴィラを出て、アパートに戻って残業するつもりだった。
しっかり働いて、兄が藤崎千明の贈り物を台無しにしたと責めないようにするためだ。
途中で三浦大也から電話がかかってきた。