第390章 「愛してる」と言ってほしい

藤崎千颯は理解できなかった。なぜ彼は直接荒木雅に会って真相を確かめないのか。

しかし、彼の意図に反論するのも良くなかった。

「後で三浦大也たちに指示して、以前荒木雅が怪しい人物と会ったことがあるかどうか調査させよう。」

「それと、千明にも言わないでくれ。」藤崎雪哉は特に念を押した。

藤崎千颯はうなずいた。「わかった。」

藤崎の三の若様があのバカ者が知ったら、きっと荒木雅を試そうとして、兄に功績をアピールするだろう。

オフィスのドアが閉まり、部屋の中は長い間静寂に包まれた。

藤崎雪哉は写真を片付け、物を収納する際にシャツの三日月型のカフスを見て、しばらく目を凝らした。

願わくば私が星のごとく君が月のごとく、夜ごと光を放ち清らかであらんことを。

結局、本心だったのか、それとも取り繕っただけなのか?