メイクアップアーティストは工藤みやびの肌と顔立ちを一瞥し、マーティン・グリーンに笑いかけた。
「彼女はすでに仙女そのものですよ」
十九歳の年齢で、顔中にコラーゲンが満ちあふれ、肌は繊細でなめらかで触れればはじけそう、顔立ちは精巧で明るく艶やか、目の輝きは流れるように美しい。
「ありがとう」工藤みやびは鏡越しにメイクアップアーティストに向かって茶目っ気たっぷりに微笑んだ。
メイクアップアーティストはファンデーションを手に取り、彼女と会話をしながら、メイクを始めた。
しばらくすると、すでに顔のメイクが完成し、忙しく髪をセットし始めた。
マーティン・グリーンが各所を巡回して確認し戻ってきたとき、彼女のメイクとスタイリングはすでに完了していた。
マーティンは満足げに笑い、メイクアップアーティストの肩を叩いた。
「さすがに期待を裏切らなかったね」
「あなたのイメージキャラクターが十分美しいからです。私は錦上花を添えただけです」メイクアップアーティストは心から賞賛した。
なるほど、マーティンがそれほど彼女をMGのグローバルイメージキャラクターにしたいと主張したのも無理はない。
容姿も雰囲気も、あの高慢な女優よりもはるかに優れている。
ファッション界では多くの場合、知名度ではなく、イメージキャラクターの容姿と雰囲気、そしてブランドのデザインとの調和が重視される。
マーティン・グリーンはアシスタントにドレスを持ってくるよう指示し、ドレスカバーを解いて取り出しながら言った。
「これが今夜あなたが着るドレスです」
工藤みやびはマーティンが取り出したドレスを見て、一瞬呆然とした。
このドレスはマーティン・グリーンが工藤家で彼女のために最初にデザインしたドレスで、成人式で着用したものだった。ただ、今は細部に若干の改良が加えられていた。
スカートは幾重にも重なったオーガンジー、上半身はシンプルでエレガントなオフショルダー、ドレスには精巧な刺繍の花が散りばめられていた。
「もうすぐ始まるよ、着替えてきて」
工藤みやびはドレスを受け取り、更衣室に行ってドレスに着替えたが、なかなか出てこなかった。
十八歳のあの年、工藤司は工藤邸で彼女のために盛大な成人式を開いた。
彼は彼女を連れて盛装で出席し、その日彼女が着ていたのはまさにこのドレスだった。