案の定、2分後に彼は兄の指示を聞いた。
「先に会社へ行け、会議は1時間後に変更だ。」
「わかりました。」
藤崎千颯は口を尖らせ、諦めてブリーフケースを持って先に出勤した。
社員の遅刻は許さないくせに、自分が遅刻するのは当然だと思っている。
藤崎雪哉は彼の胸に寄りかかり、疲れた表情の工藤みやびを見下ろし、彼女の額に軽くキスをした。
「何か食べる?」
工藤みやびは頷き、彼について食堂へ行き、無理して一杯のお粥を食べた。
「私も一緒に会社へ行こうか?」
映画の公開のため、彼女は元宵節もバレンタインデーも彼と一緒に過ごせなかった。
やっと二日間の休みで帰ってきたのに、彼はまだ会社へ行かなければならない。
藤崎雪哉は彼女の肩を抱いて階段を上がり、寝室まで送った。
「家でゆっくり休んでいて、午後早めに帰るから。」