工藤みやびも思いもよらなかったが、一度寝て起きただけで、風邪を引いて熱まで出てしまった。
風邪薬を探して飲み、藤崎雪哉が仕事から帰ってくるのを待とうと思った。
しかし、家に薬が見つからず、彼に電話するしかなかった。
藤崎雪哉は声の調子がおかしいと気づき、電話を切ってから1時間もしないうちに帰ってきた。
家に入ると、彼女が薄いショールを羽織り、クッションを抱えてソファに丸くなって眠そうにしており、小さな顔が不自然に赤らんでいるのが見えた。
藤崎雪哉は近づき、手を彼女の額に当て、異常な熱を感じて眉をひそめた。
「起きて、病院に行こう」
工藤みやびは疲れた様子でまぶたを開け、彼が戻ってきたのを見て腕を伸ばした。
「力がないの、抱っこして」
藤崎雪哉は拒まず、彼女を抱えて車に乗せ、シートベルトを締めてから池田輝に電話をかけ、病院へ向かった。